富士見・三芳薬剤師会

実務実習生へ

実務実習生へ

薬学生に許される行為の範囲と違法性阻却事由

実務実習に際して、薬学生の行為の違法性が法的に阻却されるためには、以下の4点が認識され実行されなければならない。
(無資格者が薬剤師の業務を行うことは法律違反となるので、以下の項目の遵守が必須となる。)

1.薬学実務実習生

CBT、OSCEを合格した薬学生が、定められた期間、定められた薬局施設において、定められた人数(1薬局2名以下)において実務実習生として実習を行う。

当薬剤師会では、定められた薬局施設以外における実習は指導薬剤師の判断に一任

2.実務実習指導薬剤師

実務実習指導薬剤師、もしくはそれに準ずる能力を有する薬剤師が指導薬剤師の指示のもと指導する。
実務実習生の広義の調剤行為時には、(指導)薬剤師が必ず傍らにいなければならない。

ここでいう広義の調剤行為とは、(薬を取り揃える前の)先確認・処方監査・疑義照会・狭義の調剤(薬を取り揃える行為)・調剤鑑査・服薬指導・薬を渡した後の患者フォロー等を指し、これらはすべて(指導)薬剤師の監視のもとで行わなければならない。

「傍ら」、「監視のもと」とは、実務実習生の言動・行為を即時に修正指導できることを意味するものであり、離れた場所からの指導は認められない。(指導)薬剤師は実務実習生と一緒に行為をすることではじめて違法性が阻却される。

学生に許容される行為の水準

上記1の期間・薬局施設・人数であれば、基本的に薬局薬剤師が行うすべての行為。
例外行為(麻薬調剤等)はそれぞれ確認すること。

4.患者もしくは患者の保護者などからの同意

服薬指導(在宅患者訪問指導も含む)および薬を渡した後の患者フォローは、患者本人もしくは患者の保護者などからの同意のもと実施する。

 

ようこそ、富士見・三芳薬剤師会へ

富士見・三芳薬剤師会会長 武長 正洋(創健薬局)

薬学実習生の皆さん、こんにちは、会長の武長です。この街は、まだまだ田畑の多い所ですが、皆さんが実習する環境としてはとても良い所だと思っております。これから11週間、沢山経験し学んで下さい。
また、皆さんを指導してくださる指導薬剤師の先生方は皆、熱心で一生懸命に皆さんに接してくれるはずです。だからこそ皆さんも個々の性格等はあるかと思いますが指導薬剤師の先生方に積極的に接して頂きたいと思います。
そして近い将来薬剤師として仕事をするにあたり、この11週間という短期間で学んだ事、経験した事が皆さん一人一人の糧になることを期待します。

最後に、私個人から皆さんへのお願いです。皆さんが薬剤師として仕事をするようになるとMRさんやMSさん等が皆さんの事を「先生」と呼ぶことがあるかもしれませんが、決して偉くなった訳ではありません。MRさんもMSさんも皆、薬を通じて共存共栄の存在であり、医療を担うチームの一員であることを知ってください。
そして薬を扱うプロフェッショナルとして一人一人の患者さんや地域の方々に親身に接し、その方々の健康維持に役立てるような、臨床に近い薬剤師になって頂きたいと思います。
自分たちの健康に留意し実務実習をやり遂げて下さい。期待しています。

 

実習生の皆さんへ

実務実習エリア担当 長島 こぎく(勝瀬薬局)

皆さんは、薬局実習をどのように思い描いてここにいらっしゃいますか?各々の学生さんが、目標を掲げて各薬局にいらっしゃっています。私たち指導薬剤師は皆さんが目標を達成できますよう、できる限りの尽力を致しますので安心して実務実習に臨んでください。そして、日々の業務に邁進している薬剤師の姿から真の薬剤師像を見出して頂きたいと思っています。

私事になりますが、20数年ほど前に薬局の開局と同時に管理薬剤師としてこのエリアに参りました。その時に掲げた理念は「地域に根を下ろし、地域住民の皆さんにとり、とことん優しい薬局を作り上げる」ということでした。今まさに医療は「地域医療」中心の時になりました。その中で薬局が求められている役割も「地域」を支えることなのです。
私たちの住む地域にはご高齢の方が多くお住まいです。ご高齢の方々が今の健康を長く維持できるよう手助けをすることが求められます。また、難病のお子さんを抱えた核家族の方もいらっしゃいます。このような方たちが、安心して日々過ごすことができるよう心を砕くことも私共の仕事なのです。

少し考えてみましょう。「クリニックや病院へ行くほどではないが」と薬局を訪れる地域の方、受診して処方箋をお持ちになり薬局にいらっしゃる患者さん、どちらにしてもご自宅に帰る前に立ち寄るのは薬局です。この「薬局」がどのような対応をするかで人の心の景色は違ってきます。患者さん(地域の方)のお気持ちを察し、「適切な対応」をすることで、その方は帰宅後ゆったりとその日を過ごし、安心して眠りに就くことができます。

冷静で適切な対応をするためには、学校で学ぶ基礎の学問は大切です。さらに日々の努力にて学び、幅広い応用力(対応力)を身につけなければならないと思います。
近い将来、薬剤師となる皆さんには、今回の実務実習にて、薬局という医療の現場で人々(患者さん)と真摯に向き合い、深く学んでほしいと思っています。それが個々の薬局での実習であり、更に集合研修を行う目的でもあります。ご高齢の方々は今まで70年、80年という長い人生を一生懸命生きてこられた方々です。そのような方々に畏敬の念を持ち、大切に思い、「患者さんから学ぶ」という心で接し、真の実務実習を経験して頂きたいと切に願います。そのためには、エリアの指導者全員で皆さんを応援致します。

どうぞ11週間健康に留意し、充実した実務実習となりますよう共に頑張りましょう。

実習を楽しむコツ

関根 康二(よつば薬局)

みなさん、まずは考えてみてください。薬局薬剤師として何を目指すのか?どういう薬剤師になりたいのか?「あんなことしたいな~こんなことできるといいな」多分近い将来あなたの考えた理想とする薬剤師がスタンダードな薬剤師として定着していくことでしょう。今思い浮かべたことができるのが薬局薬剤師の魅力です。思い浮かばなかった人は以下を参考にすると、楽しみながら実習できるかもしれません。

私の考えでは薬局薬剤師の魅力は大きく分けて2つ。

1つ目は患者さま、お客様をはじめ、多くの人との関わりがもてることです。
元気や健康はだれもが望んでいること、疾病を持っている人だけではありません。もちろん年齢も様々です。他にもMRさんMSさん、配送の人、地域活動を通して様々な人に元気健康を与えることができるのです。薬剤師の努力次第では信頼される職業として位置づけられるのです。

2つ目は一人の患者さま、お客様に関われる時間が長いことです。
私が相談薬局の薬剤師として働き始めたのは平成9年。当時の一番若かったお客様は3歳の子供です。(もちろん母親が相談しに来られた)今では立派な社会人、保母さんとして働いています。今でもOTC薬サプリメントを通して健康のお手伝いをさせていただいています。笑顔でいつも来られるこのお客様、果たして私はいつまでこの子供の健康を見続けられるのか・・・私の寿命との闘いです。逆に当時70歳以上の高齢者、もう多くの人が亡くなっています。お葬式に行ったり、仏壇に手を合わせに行くと家族からは「ありがとう。」の言葉。本当にありがとうというのは私の方だ。仏壇の横を見ると、私が勧めたOTC商品が置いてある。
「私を信じてくれてありがとう」心の中でささやきます。

自分はどういう薬剤師になるのか?そうです。自分が想う薬剤師になれるのです。
患者さまは何を求めているのか?
コミュニケーション能力の基本は聞く力。
まずは心の声を聞いてみよう。次は・・・・・。

そんなことを考えながら実習をすると面白いかもしれませんね。

 

先輩からのアドバイス その1

齊藤 貴洋 2018年 明治薬科大学卒業

これから実務実習を経験される皆さんに私の苦い失敗談を一つ。

私は皆さんと同じく富士見・三芳地区の実務実習を行いました。その時に薬局薬剤師の業務にやりがいを感じたため、新卒時は将来的に安定していると思われる大手チェーンの調剤薬局に就職しました。しかし、配属先は入社前に聞いていた環境とは異なり、当初の目的であったやりがいのある薬剤師業務を満足にすることはできませんでした。その薬局は業務であるはずの先確認すら行われておらず、患者さんの受診理由・服薬状況・併用薬・ジェネリックの使用に関する意向等も分からなかったため、処方監査が十分にできていませんでした。実際、薬を取り揃える前の処方監査はないに等しかったのです!そして、短時間で多くの患者さんに対応することを優先としているため、薬歴に関しても最小限の記載のみで前回患者さんがどのように仰っていたか、どのような服薬指導を行ったかすら分からないものばかりでした。さらには投薬前の調剤鑑査も時間をかければ文句を言われしまうこともある環境だったのです。

上記のような環境はその調剤薬局にいる薬剤師の問題であり、企業の方針が問題だった訳ではないのかもしれません。しかし私は、現場の薬剤師は日々研鑽をし、患者さんや地域の方々のために質の高い医療を提供することが重要だと思っています。そしてそれが現場の薬剤師にとっての喜びや醍醐味になり、そのような生き生きとした薬剤師の仕事が自身のスキルアップにも繋がるはずです。
私はそのような仕事がしたくて1年で転職をしました。「薬剤師版しくじり先生」となってしまいましたが、現在は薬剤師として充実した満足のいく仕事ができ、楽しい日々を送っています。

最後になりますが、皆さんは多くの先生方から実務実習や集合研修を通して患者さんに求められる理想的な薬剤師としての「あり方」、そしてそれを成し遂げるための「やり方」を教わるはずです。「あり方」があっての「やり方」、逆に「やり方」があっての「あり方」。どちらも欠かせないものです。今後も自己研鑽を怠らずに社会に出た後に、あなたで良かったと選んでもらえるような素敵な薬剤師になってください。

先輩からのアドバイス その2

岩崎 鉄平 2019年 明治薬科大学卒業

11週間の薬局実務実習が始まっていると思いますが、皆さんはどのような気持ちで実習を迎えているでしょうか。私の場合は8ヶ月超の病院実務実習後に薬局での実習を迎えましたが、始まる前に多くの方から長期間病院にいたのだから薬局は楽しくないかもしれないと言われ、最初は正直不安な気持ちもありました。しかし、いざ始まってみるとそんな気持ちはすぐに吹き飛びました。と言うのも、薬局において病院ではできないことが非常に多く、毎日様々なことを楽しく学ぶことができたからです。

これから実習を始めていく中で、参考になればと思いいくつかですが提案してみたいと思います。私の場合、病院での実習が長かったわけですが、病院では入院が必要な患者さんに対し、よりよい薬物治療を提供することが薬剤師の主な仕事であると学びました。そのために薬剤師は薬のことだけでなく病態や推奨されている治療法など、それぞれの疾患についてより深く学ぶ必要があると感じました。

それに対し、薬局では患者さんの治療の場が自宅となるため、薬物治療だけでなく患者さんの生活そのものに介入していくことも重要であり、そのためにはより広く、より深い知識が必要であると学びました。目の前にいる患者さんに興味を持ち、ちゃんと薬が飲めているかだけでなく様々なことを聞き取ることも重要になります。

例えば患者さんが生活習慣病であればどんな食生活であるか、運動や睡眠はどうかなど、薬剤師として気になることを患者さんに聞いてみると患者さんが抱えている問題を言ってくださることもあります。
そうした生活している中での問題を薬剤師が解消できる可能性があるという点において薬局と病院は異なっていると思います。これは1例にすぎませんが、皆さんもぜひこうした体験ができるよう積極的に実習に取り組んでいくことをお勧めします。

もしかしたら皆さんの中には、薬局薬剤師は処方箋に基づいて薬を取り揃え、患者さんに対して服薬指導をするだけと考えている方もいるのではないでしょうか。しかし、そういった方にとっては想定以上のことをさせていただけるのが富士見・三芳地区での薬局実務実習であると私は考えています。

薬局内での実習のみならず、薬剤師の先生方がお忙しい時間の合間を縫って用意してくださるたくさんの集合研修等を通じて薬局薬剤師ができる様々な業務を体験させていただき、それらの業務が決して特別なことではないということをぜひ感じ取ってほしいです。

実習するにあたり、11週間という期間は充実しているとあっという間に過ぎてしまいます。日々の実習内容の中に1つでも多くの疑問を感じ、よく考え、わからないことはどんどん薬剤師の先生方へ聞いてみましょう。最初は聞きにくいこともあるかもしれませんが、先生方はしっかりと聞いてくださいます。その場で得た知識は間違いなく重要なものばかりだと思いますが、それ以上に疑問に感じたことやわからないことをそのままにせず、自分が納得するまで調べるといった行為を習慣づけることで、その場で身につけた知識以上に大事な財産になると思います。

最後になりますが、体調を崩して実習を休んでしまうと貴重な体験ができず非常にもったいないです。体調管理にも十分気をつけて、充実して楽しい薬局実務実習だったと言えるよう頑張ってください。

 

必要なのは、感謝の心と志

学術部理事 平野 道夫(まい薬局富士見店)

薬剤師は患者さんだけではなく、たくさんの地域の方々を笑顔にすることができる国家資格です。そんな薬剤師の仕事が私は大好きです。そして、好きなことを仕事にできるという幸せにとても感謝しています。

みなさんは、実務実習を通して本物の薬剤師の姿をじっくりと学んでください。そして薬剤師という職能が好きになって、夢を持つことが出来たのなら、それは悔いのない勉強ができた証(あかし)です。

そして、薬学生として学べることの幸せにも感謝を忘れないでください。
自分ひとりの努力だけで、今があるわけではありません。

「いかにプロフェッショナルな薬剤師として生きるか」という志さえ立てば、
学生生活を含め、人生そのものが学問に変わります。

お互いの目標について、我々薬剤師や仲間たちと真剣に語り合いましょう。
そして、共に学んでいきましょう。